RE:NOVATION 大手町駅改装工事のご案内

大手町駅調査隊

2015.4.1

もし、駅で線路に物を落としてしまったら、駅員さんにお願いして拾ってもらわないといけない。幸い、今までに線路に物を落とした経験はないが、拾ってもらっている人を見たことはある。女性が落としたハンカチを、駅員さんが長い棒を器用に扱って拾っていた。困った女性を助けるその姿がドラえもんのようで、あれ以来、あの棒のことをひみつ道具風に「拾い棒」と呼んでいる。

今回、東京メトロさんの協力を得て、あの「拾い棒」のポテンシャルを探ってみた。

「メトロさんではマジックハンドと呼んでいる」

拾い棒について解説してくれるのは、東京メトロの益田さん。大手町駅で使用している2種類の拾い棒とタモのようなものを持ってきてくれた。

益田さん

大手町駅の拾い棒各種

まず、僕が勝手に「拾い棒」と呼んでいるあの棒に正式名称はあるのだろうか?

益田さん「東京メトロでは、マジックハンドと呼んでいます」

ドラえもんにも「マジックハンド」という名のひみつ道具があるが、それは手袋だ。その手袋をはめると離れた場所にある物を掴んだりできる。

メトロさんのマジックハンドは2種類。その違いはどこにあるのか?

益田さん「黄色いマジックハンドは丸ノ内線と銀座線用で、シルバーの方はその他の路線で使用しています」

丸ノ内線と銀座線は第三軌条方式という集電方式を取っていて線路の脇に給電用のレールがあるので、絶縁性のある黄色いマジックハンドを使用しているとのこと。絶縁性がないシルバーのマジックハンドに、「ハサミタイ」という名前がついていたのも注目ポイントだ。

ハサミタイ

5つの路線が乗り入れる大手町駅だからこそ、2種類のマジックハンドが必要になる訳だ。更に、大手町駅が導入した道具にタモのようなものがある。釣りに使うタモのようだが、これはどういう用途なのか?

益田さん「最近、スマートフォンを落とすお客様が多いので、このタモを導入しました」

マジックハンドで掴んだスマホをタモでフォローしながら拾うのだという。魚以外の物をすくい上げるタモ。ちょっと不思議な光景が大手町の駅では繰り広げられているのだ。

「1日1回は線路に物が落ちている」

このマジックハンド、どれくらいの頻度で使用されているのだろうか?

益田さん「正確な数字を出している訳ではないのですが、平均すると大手町の駅で1日1回は拾ってると思います」

毎日のように大手町駅のどこかでマジックハンドが使われている現実。みんな、どんな物を落としているのか?

益田さん「多いのは、スマホ、携帯、靴、パスケースなどですね」

どれも拾ってもらわないと困るものばかりである。

益田さん「変わったところだと、学生さんが宿題のプリントを落としたこともありました。あの時はマジックハンドの先に両面テープをつけて拾い上げました」

プリントを落としたまま学校に行って、「宿題はやったんですけど、線路に落としました」と言い訳しても、きっと先生は信じてくれないだろう。その学生さんは、マジックハンドのお陰で先生から叱られずに済んだ訳だ。

マジックハンドを操作する益田さん

このように、平均すると1日1回、みんな何かしらを落としている中、2人同時に靴を落とした、ということもあったという。

益田さん「まったく同じタイミングで、女性2人がハイヒールを落としまして。しかも、2人とも右足。貸し出しのサンダルは1足しか用意がないので、あの時は困りました」

靴を落とすのは圧倒的に女性が多いらしく、それは、まるでシンデレラのようである。

ここまでお話を聞いて、ふと疑問に思ったことがある。

マジックハンドを使わずに、線路に降りて拾った方が早いのではないか? 駅員さんだったら線路に降りることも許されるだろう。

益田さん「いえ、たとえ駅員でも線路に降りることは許されていません。線路に降りていいのは終電車が出た後なので、どうしても降りないと拾えない物があった場合、終電まで待たないといけません」

そういうルールなら、やはりマジックハンドを使うしかないのだ。改めて、マジックハンドの有り難みを知る。

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